2007/05/29 あのね様(北海道)

竜宮幻歌、全体の感想としてはまさにアルバムタイトルの通りだなという感じです。
大人のお伽話というか、深海で奏でられる現実とも幻想ともいえない不思議な楽曲。
それぞれ驚くぐらいにバラエティに富んでいるのに、どれもがアルバムの雰囲気にそっている。
そんな印象を抱きました。余程作りこんで、緻密に計算したんだなぁと感心しました。

素人の自分が言うのもあれですが、売れ線狙いのアルバムというよりは、とことんアーティスティックなアルバムでMOKA☆の中に渦巻く才能を焼き付けた。という感じがします。
もちろん独りよがりな作品にはなっていなくて、僕を虜にした「LILIUM」なども含まれてますが。

あとMOKA☆に関して思うのは本当に引き出しが多いということですね。
ある程度のMOKA☆らしさを感じることはありますが、なんていうか、「ああ、またこの引き出しから曲作ったんだ」というのをほとんど感じないんですよね。

これも素人の自分が言うのもアレですが、上手いなぁと思います。
ただもし何も知らない状態でMOKA☆の歌声を聞けば、別の引き出しでも、「あ、MOKA☆だ」って分かりますけど。(笑)

歌の上手い歌手というのはたくさんいますが、その中で稀有の個性をもつ歌手というのはそうそういるものじゃないと思います。
表現力も一つの個性ですが、それは努力次第である程度のレベルアップはできます。
だけど声質というのは本当に持って生まれたものだと思います。だからただ歌が上手い、表現力があるというだけでは別に同じような上手い人がやっても変わらない。
ということになるんですが、MOKA☆は稀有な声質と表現力を持っていますし、作曲能力に関しても才能がありますので、いちアーティストとして確固たる実力と個性を秘めていると感じました。
あれ、なんでこんな話になってるのかな。
とにかくMOKA☆というのは多くのアーティストに埋没しない才能があると思いますね。歌にしろ劇伴にしろ。

「誰もわかってくれない」
出だしから変拍子ストリングスと緊迫、不安を感じさせるヴォーカルが聴き手を幻想の入り口にいざなってくれます。そして「あなたは何処へ?」という部分での一瞬の弛緩が心地よく、脳にすっと言葉が入ってくる感じになります。

ここと同じメロディである「振り向いても……」の部分も良いですね。個人的にこの旋律が好きです。スイカに塩を振るが如く、緊迫に弛緩を入れることでメロディや歌詞が効果的に作用すると思います。
そしてその部分の歌詞の切なさが心を揺さぶりました。歌詞にあまり重きを置かない僕にここまで思わせたら大したものです。(笑)

「DEEP→DEEPER→DEEPEST」
良いですね、この曲。精巧に作られた声の芸術、歌のお伽話って感じです。個人的にLILIUM並みに好きだったりします。
サイト解説であるように泡のような恋。という雰囲気に見事に合っています。あと細かな部分の作りこみ、コーラスなどが非常に良く出来ていて超最高です。
僕はそういう細かな作りこみ、曲の装飾が大好きなのでイヤホンで一音一音かみ締めるように聴いてしまいます。シンプルながらも洗練された音作りがヒシヒシと伝わってきますね。

MOKA☆の天使的歌声を邪魔しない、むしろ見事に彩ってくれてると思います。
見事な相乗効果です。MOKA☆を知らない母もこの曲イイ!と言ってました。

「THE DOOR OF A MIRACLE」
度肝を抜かれたというか、まさかMOKA☆がこっち系統の歌を歌うとは思いませんでした。声質とか他の曲の傾向とかを考えるとこっち方面はないと思っていましたが、やりましたね。
本来なら声の線の強い人が歌う雰囲気ですが、MOKA☆の天使ヴォイスで歌われたこの曲は、これはこれでとても良いです。アンバランスの妙といいますか、合ってないようで実は凄く合ってる。と言いましょうか。力強い曲を力強い声で歌うのではなく、力強くも美しい声で歌うという、その試みが功を奏したような気がします。これも凄いお気に入りだったりします。

とても濃い曲なので何度もリピートすると辟易しそうですが、声質の良さからかクドくならずに何度でも聴けます。そして力を分けてもらえる曲です。

「LILIUM」
やはり素晴らしい曲です。自分の人生の中で確実に忘れることの無い名曲だと思います。
それなりに音楽好きなので様々な曲を聴いて、様々な曲が埋没していきますが、これは本当に沈むことはない。というぐらいに好きですね。
僕がLILIUMを知ったのはアニメのアレンジでそれがLILIUMだと思っていましたので、リアレンジというモノにニュートラルな状態でいようと思っても抵抗がありそうでしたが、本当に見事に再構築したなと思います。

MOKA☆の声がもともと賛美歌向きというのもありますし多重コーラスアレンジという着眼点の素晴らしさもあります。またその多重コーラスも原曲のバックを意識しているのであの雰囲気を損なわない。

今まで色々なリアレンジの失敗を見てきましたが、ここまで原曲と同レベルに気に入らせてくれたリアレンジ楽曲はありません。人生の中で五本の指に入る名曲ながら原曲のフルサイズが聴けないという悲劇の曲でしたが、それに匹敵するモノを作って頂けたので何とか生きていけそうです。
「LILIUM」の原曲を、そしてMOKA☆バージョンを作って下さって本当にありがとうございました。

「それは私にとっては、美しかった」
最後を締める曲ですね。静かで美しくて、ぞっとするような冷涼感も秘めているような感じです。
例えるならこう、深海の均質な温度の海水の中で、ほんのわずかな部分にある影、他と違う温度差の部分。その冷たい部分を表現したような、そこに包まれるような感覚に陥らせてくれる曲でした。
妖しく美しいコーラスが効果的に曲を彩っていて、また幻想的なメロディーのループもとても好みです。

総じて全てが精緻に作り込まれた、才能によって熟考されたのがヒシと伝わる完成度の高い楽曲でした。
初めはLILIUMが一番で。次は……、とか考えていたんですが、何度も聴き込んで、感想を書くために更に深く聴こうと意識しているうちに全てが同レベルな程に好きになりました。
やはり全てに個性があるために同線上で比べられないみたいです。

音楽に詳しくないので技術レベルでの感想などは出来ず、抽象的な感想ばかりになってしまいましたが、特にお世辞でもなく素のままに感じた想いを書き綴ったということは自信を持って言えます。
素晴らしいアルバムを作って頂いてありがとうございました。
これからもその才能を存分に発揮してください。
それらを一人の音楽好き、MOKA☆ファンとしていつまでも堪能したいと思っていますので。

∞☆*.+∞★∞*∞☆*.+∞★∞*∞☆*

あのね様、優しく深く共鳴していただけて本当に嬉しいです!どうもありがとうございます
ご感想を拝見しながら,テレつつもウルウルしてしまいました。灰色の靄の彼方から,ひとすじの光が差し込む感じ。こんなふうに「竜宮幻歌」を聴いていただけるなんて,歓びの極み・・・
あのね様のお言葉に恥ずかしくないよう,もっとガンバラなくっちゃデス。。。 ♪MOKA☆